全曲解説

ROCK

Derek and the Dominos[Layla and Other Assorted Love Songs』

アルバム制作の背景として、クラプトンはデラニー&ボニーのツアーに同行し、ジョージ・ハリソンの「オール・シングス・マスト・パス」のアップルセッションに客演、初のソロアルバムを発表する。この辺が英国とアメリカにまたがって発生し、活動を通じて知己を得たボビー・ウッイトロックとバンドを結成することになる。それがデレク・アンド・ドミノス。半世紀も前のアルバムで、これほどの魅力を湛え、愛されるアルバムはロック歴史上でも稀なケースでしょう。デラニー&ボニーの影響は大きく、アメリカ南部のカントリー、ゴスペル、ブルースやソウルを吸収した英国人ブルース・ギタリストが自ら歌い体現する。一連の動きはスワンプ・ロックと呼ばれ、自身の親友の妻への横恋慕と苦悩を投影した曲群は、このスタイルの頂点を成すアルバムとなった。特にアルバムを象徴する「レイラ」は激情を隠さない熱い展開を聴かせますが、後半では一転して、スライダギターが奏でるセンチメンタルなフレーズが心地いい余韻を残す名曲です。
Mott the Hoople

Ian Hunter [Welcome to the Club]

元モット・ザ・フープル(Mott The Hoople)のイアン・ハンターのソロ名義のアルバムですが、相棒ギタリストのミック・ロンソンを再び迎えた新バンドによる79年LAはロキシー・シアターでの記録。観客の熱気が伝わるクラブで、バンドのメンバーもそのエネルギーで更に熱が入るという相乗効果。適度に編集はされているようで、パンキッシュでシャープなバンドの音になっている。ハンターのボーカルはベストワークといえる素晴らしさで声量もシャウトも冴えている。ロンソンは大きく厚みのある流麗なフレーズはそのままに、切れの良いギタープレイを聴かせてくれる。ハンターを含めば最大3ギターに2キーボードのバンド編成でアレンジに幅があり、メンバー全員でつけるコーラスには厚みがあります。時代に会場と観客の熱気にバンド演奏と録音技術が応えた素晴らしいライブアルバムです。
SANTANA

Santana [Santana III]

『サンタナIII』(原題:Santana)は、1971年にリリース3作目のスタジオ・アルバム。サンタナ初期の集大成とも言える作品。前作収録の「ネシャブールの出来事」のジャズ・フュージョン的要素をアルバム・サイズで展開したようですが、方向性に不満を持つメンバーとの間に深刻な対立が起こっていたそうです。当時17歳の若きギタリストのニール・ショーンが加入し、ツイン・リード・ギター体制となったアンサンブルには厚みとダイナミクスが加わる。シーラ Eの叔父でティンバレス奏者の第一人者コーク・エスコヴェートやグレッグ・エリコなどのゲストミュージシャンが参加している。もはやラテン・ロック、ブルース・ロックの範疇では括れない、プログレッシブ・ロックと呼んで差支えのない傑作。一番先鋭的な時代のサンタナ(・バンド)です。
ROCK

Jesse Ed. Davis [Tomorrow May Not Be Your Day]

Jesse Ed. Davis [Tomorrow May Not Be Your Day] ジェシ・エド・デイヴィスの未発表アルバムを紹介します。
Rolling Stones

Rolling Stones [Bridges to Babylon]

『ブリッジズ・トゥ・バビロン』は1997年にリリースされたアルバム。エレクトロニクス、ドラムループやサンプリング等のヒップホップの手法を取り入れたアルバムとして認識をしています。ミックとキースがそれぞれ曲を持ち寄った曲と、二人の共同作業による曲の3つのケースがあるようでプロデューサーもバラバラなのと志向の違いは当然のことに思えます。私としては90年代後半らしい音の質感を称えた作品として違和感なく愛聴しています。
Rolling Stones

Rolling Stones [Steel Wheels]

Rolling Stones [Steel Wheels]を全曲解説。販売初日に手に入れたチープなイラスト・ジャケットにはがっかりしましたが、我々日本人にとっては初の来日公演が実現した、当時最新のスタジオ・アルバムとして思い出深い一枚です。先行シングルの”Mixed Emotion”を越える曲はないだろうと思っていたので、”Sad Sad Sad”のイントロを聴いた衝撃と喜びは忘れられません。劣化した”Rocks Off”のイントロと言うのは私だけかもしれませんが、東京ドームでも演奏されたストーンズにとっても自信曲だと思います。これも言い過ぎだと思いますが、ニューヨーク・ドールズの”Personal Crisis”を思い出すのは私だけですかね。
ROCK

Rolling Stones [Let It Bleed]

1969年にDECCAからリリースされた8枚目のスタジオアルバム。前作「ベガーズ・バンケット」の勢いをそのままに、アメリカ南部の影響を昇華したストーンズのスタイルが確立された作品。大きな変化は創設メンバーのブライアン・ジョーンズが解雇され、ミック・テイラーが加入したこと。2曲を除きほぼキースが自身でギターを重ねている。多くの国でトップ10に入り、イギリスでは1位、アメリカでは3位を記録している。ブライアン・ジョーンズは解雇後、自宅プールで溺死体で発見される。
ROCK

Meatloaf [welcome to the neighborhood]

「ウェルカム・トゥ・ザ・ネイバーフッド〜地獄からの脱出」は93年の作品。大ヒットアルバム「地獄のロックライダーII」の続編を早く作りたいミートローフですが、今回は仕事の遅いジム・スタインマンではなくロン・ネヴィソにプロデュースを委ねた作品。ミートローフのアルバムとしては、曲作りに一流のヒットメイカーを揃えているだけにクオリティの高いポップなアルバム。サミー・ヘイガーの提供曲で演奏にも参加をしているだけに、ポップといえどもギターのたったメロディアスなハードロック仕様になっている。ただしジム・スタインマン作の曲は2曲に留まり、評価は厳しく、セールスも伸びなかった。残念ながら名コンビが産み出してきた作品の水準には達してはいな
Jimi Hendrix

Jimi Hendrix [Electric Ladyland]

68年発売のジミヘンドリックスの3rdアルバム。愛を創造し神への謝辞から始まるアルバムは、最後に"Voodoo Chile"として自然を操る全能者の降臨で締めくくられる。当初はストック曲やセッションの寄せ集めと捉えていたこのアルバムには、実は一つのアポカリプス的なコンセプトとストーリーが存在していたのですね。ロック、ブルース、ジャズ、ファンク、サイケデリック等、不協和音で崩壊寸前のエクスぺリンスを見限り、ステーブ・ウインウッド等のゲストを迎えジャムりながら様々スタイルを模索し記録した作品集なのだろう。All Along the Watchtowerは是非一度は聴いてほしい。
ROCK

Rolling Stones [Sticky Fingers]

ローリング・ストーンズの傑作「スティキー・フィンガーズ」を全曲解説します。71年発売アンディ・ウォーホルが手掛けたジッパー付きのアルバムカバーも有名なストーンズを代表する名作アルバムのひとつ。ミック・テイラーが2代目ギタリストとして初めてフルに関与したアルバム。ロックやブルース、カントリーなどアメリカ音楽の要素が融合され、ローリング・ストーンズのスタイルとして確立されている。