Mott The Hoople 「All the Young Dudes」

Mott The Hoople 「All the Young Dudes」 Mott the Hoople

私のロック・スターの理想的アイコンはイアン・ハンターです。あのアフロヘアーにサングラス。2025年でも年齢を感じさせない容姿にカリスマ。”All the Young Dudes”は作者のデビッド・ボウイが提供した事を後悔するほどロック史に刻まれた名曲です。しかしイアン ・ハンターが歌ってこその名曲であります。彼は2001年にリンゴ・スターのオールスター・バンドに加入し、彼らをバックにこの曲を披露している。(youtubeでみれます)

amazon All the Young Dudes
  1. Sweet Jane 
  2. Momma’s Little Jewel
  3. All the Young Dudes
  4. Sucker
  5. Jerkin’ Crocus
  6. One of the Boys
  7. Soft Ground
  8. Ready for Love / After Lights 
  9. Sea Diver 

アイランド・レコードと契約し、ファースト・アルバム「モット・ザ・フープル」を含む4枚のアルバムをリリース。熱狂的な支持を受けたものの、商業的には成功に至らずバンドは解散の危機に陥る。ベーシストのオヴァレンド・ワッツがデビッド・ボウイのバンド ”スパイダーズ・フロム・マーズ” の職を得るためデビッド・ボウイに連絡を取ったところ、モット・ザ・フープルのファンであったボウイは新たにCBSとの契約を斡旋してくれ、さらに楽曲提供までを申し出る。1972年にシングルとしてリリースされたのがこの稀代の名曲「All the Young Dudes」。モット・ザ・フープルの代表曲となる。その後、気品あふれるクールなアートワークのアルバムは、デビッド・ボウイとミック・ロンソンによってプロデュースされ、当時の英国シーンを象徴する作品として今日でも高い評価をえている。グラムロックとされるこのアルバムは、特にカテゴライズなど不要な歴史的ロック・アルバムです。

All the Young Dudes (すべての若き野郎ども)
デビッド・ボウイが後にインタビューで語るには、彼は『ジギー・スターダスト』を制作中であり、この曲はその物語とつながっているという。歌詞で言及するオカマや盗人、自殺願望の若者らヤバそうな奴らがその物語の登場人物である。「ニュースを届けろという」という印象的なリフレインは “Five Years”で歌われる「人類には5年しか残さていない」というニュースを皆に届けろということ。両曲に登場する奇妙な人物像や物語の語り口の相似は、ジギー・スターダストと同じ世界の物語だったからです。

ボウイとしては『ジギー・スターダスト』使わないプロットを曲にして提供したのでしょうが、
ロンドン社会のはみ出し者やパンクの原動力となる社会への不満を持つ若者を描いたリアルな物語として受け止められ、若者のアンセムとして支持されるようになる。クラッシュがこの曲の返歌 “All the Young Punks”を彼らのセカンド・アルバムで発表し、デフ・レパードはミック・ロンソンの追悼コンサートや様々な機会でこの曲にオマージュを捧げてきた。クイーンのフレディ・マーキュリーの追悼ライブではクイーンのメンバーをバックにデビッド・ボウイがサックス、ミック・ロンソンのギター、イアン・ハンターがボーカルを務める忘れられない瞬間であった。

元フープルのモーガン・フィッシャーが日本で製作したアルバム「Mott Poet Hotel」にてレッド・ウォーリアーズの小暮”SHÄKE”武彦さんやZIGGY森重樹一、ザ・イエロー・モンキー、ザ・ハイロウズ、宮沢和史さんらがボーカルをつなぐ日本語カバーもいい仕上がりでした。イアン・ハンターもフィッシャーに聴かされ、いい出来だと言っていました。

このような背景情報があると更に曲を楽しむことができるが、知らなくてもOK。切ないメロディーが、若い時やあの時代の記憶を蘇らしてくれる名曲です。

Sweet Jane
プロデュサーのデビット・ボウイがファンだと公言しているヴェルベット・アンダーグランド「ローデッド」からのカバー曲。ハードロックが持ち味のバンドにしては、イアン・ハンターのボーカルもリードギターのフレーズも爽やかで滑らか。長年聴いているのでこれはこれでありかなと思います。

ヴェルベッツのオリジナルは、作者ルー・リードの自演なので語り口も感情も入った素晴らしい出来。更に良いのは、1995年のロックの殿堂式典でソウル・アサイラムをバックに気合の入った歌を披露するバージョン。

Momma’s Little Jewel 
イアン・ハンターとベースのワッツの共作。私はアイランド・レコード時代の姿がバンドの本来の持ち味だと思っているが、この曲はイアン・ハンターの曲でもありモット・ザ・フープルの素に近い曲かと思う。デラックス・エディションの原曲”Black Scorpio”の方がいい出来とハンターも言っていました。

Sucker 
歌詞を見るとサディストの歌の様だがちょっとわからない。イアンはドスの効いた声で演劇調に歌う。ミディアムのグルーブはストーンズぽくもあるが、遠くのサックスのリフがグラムロックなのかも。

Jerkin’ Crocus 
イアン・ハンターの曲。ギターのリフも軽快で少しストーンズぽいストレートなロック。コーラスもキャッチーで曲構成も決まって完成度が高い。歌詞も少しエッチな感じでいい曲。

One of the Boys
イアン・ハンターとミック・ラルフの共作。ミディアムのロックでギターのリフが気持ちいい。後にミック・ラルフはこの曲のリフを脱退後の移籍先バッド・カンパニーで再利用。名曲「Can’t Get Enough」にリメイクし大ヒットを当てた。

Soft Ground
オルガン奏者のヴァーデン・アレンがリードボーカルを務める珍しい曲。オルガンはデープ・パープルやユーライア・ヒープを彷彿とさせるサウンドスケープでそれなりに聞き応えがある。民主主義と公平な印税の分配がバンドの存続には重要である。

Ready for Love / After Lights
ミック・ラルフの曲でイアンと共に彼も歌う。この曲も移籍後にバッド・カンパニーでポール・ロジャースに歌わして収録。

Sea Diver
イアンの曲。ゴスペルタッチのピアノにストリングスと管が、イアンの塩辛い歌を盛り上げる。プロコル・ハルムの線を狙ったのかもしれない。デビッド・ボウイは「Space Oddity」でコントロールを失う宇宙飛行士を登場させるが、この曲では深海での潜水夫に置き換え、空間での孤独や疎外感を表現する。

イアン・ハンターは74年にミック・ロンソンと共に脱退し、ソロ活動を開始する。残されたバンドは新たにのボーカルナイジェル・ベンジャミンを迎え、2作を発表し解散をする。イアン・ハンターはバンドの人間関係やプレシャーに疲れたのが脱退の理由という。メインのソングライターで彼のカリスマ性が成功に大きく寄与していたのにね。オリジナルメンバーではない負目でしょうか。バンドを民主主義的に運営するのは難しいですね。

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