Santana [Santana III]

SANTANA

『サンタナIII』(原題:Santana)は、1971年にリリース3作目のスタジオ・アルバム。
サンタナ初期の集大成とも言える作品。前作収録の「ネシャブールの出来事」のジャズ・フュージョン的要素をアルバム・サイズで展開したようですが、方向性に不満を持つメンバーとの間に深刻な対立が起こっていたそうです。当時17歳の若きギタリストのニール・ショーンが加入し、ツイン・リード・ギター体制となったアンサンブルには厚みとダイナミクスが加わる。シーラ Eの叔父でティンバレス奏者の第一人者コーク・エスコヴェートやグレッグ・エリコなどのゲストミュージシャンが参加している。もはやラテン・ロック、ブルース・ロックの範疇では括れない、プログレッシブ・ロックと呼んで差支えのない傑作。一番先鋭的な時代のサンタナ(・バンド)です。

  1. Batuka – バトゥーカ
  2. No One to Depend On – 孤独のリズム
  3. Taboo – タブー
  4. Toussaint L’Overture – 祭典
  5. Everybody’s Everything -新しい世界
  6. Guajira – グアヒーラ
  7. Jungle Strut – ジャングル・ストラット
  8. Everything Coming Our Way – 愛がすべてを
  9. Pala Los Rumberos – 情熱のルンバ

Carlos Santana – ( G )
Gregg Rolie -( Key,Vo )
Neal Schon – ( G )
David Brown -( B )
Micheal Shrieve -( Ds )
Jose ‘Chepito’ Areas -( Per )
Micheal Carabello –( Per )
Tomas ‘Coke’ Escoveto -( Per )

1 .Batuka
複数のパーカッションがリズムを刻む導入から、グレッグのオルガンと二人体制のギターリフが左右のチャンネルでリフやソロの掛合いを展開する。ラテンに加え野性味や逞しいファンクネス、ジミ・ヘンドリックスやドアーズらの先鋭的なインプロヴィゼーションの「ネクスト・レベル」を感じさせてくれます。タイトルの意味はサンスクリット語で「 若いブラフマン=宇宙の根本原理」を示しているそうです。そう知ると混沌としたインプロヴィゼーションの聴こえ方もジャケットのイラストも違う見え方をしてきます。インド哲学の影響がありますね。この曲の世界観が次作「キャラバンサライ」で爆発したのでしょうか。

2. No one to depend on
A面はほぼ切れ目なく展開する組曲のような印象です。熱い前曲の火照りを冷ますチェンジ・オブ・ペース。短い歌メロとコーラスが若干加わる、ゆったりとツイン・ギターが奏でる展開は「オデ・コモ・ヤ」に連なるサンタナ流ラテン・ロックの懐の深さを感じます。この曲にはスライ&ザファミリーストーンのグレッグ・エリコがタンバリンで参加している。アルバムからのセカンドシングルでアメリカ・ビルボードの37位が最高位。ウィリー・ボボが1965年に録音した「スパニッシュ・グリース」のメロディが借用されている。

3. Taboo
グレッグの気だるい雰囲気のボーカルが印象的なバラード。歌に伴奏するギターはB.B.キングや「ブラックマジック・ウォーマン」の作者ピーター・グリーン流のゆったりと感傷的なフレーズと先鋭的な切れ込みを繰り出してきます。この曲のリードギターはニール・ショーンでカルロスは参加をしていないそうです。しかしながらラテン・ロック、ブルース・ロックの範疇では語れない完成度の高い楽曲。

4. Toissaint L’overtur
ハイチのフランスからの独立に尽力した元奴隷兵士の名前からタイトルはつけられたそうです。初期サンタナバンドの頂点となるバンドメンバー全員による作曲。パーカッションに加えグレッグ・ローリーのオルガン、ツイン・ギターがジェットコースターのように自由に疾走するドラマチックで感動的なアルバムのハイライト。男声コーラスを従えた終盤の畳みかけるギター・ソロの掛合いが凄すぎる。サンタナと当時17歳のニール・ショーンが互いのソロを消してオーバーダブする競争?意地の張り合いのような制作シーンだったそうです。余韻を残さないバチンと閉めるエンディングから・・・

5. Everybody’s everything
R&Bの元ネタがあるらしいですが未聴です。ファンキーなベースとゲスト参戦したタワー・オブ・パワーのホーンが活躍するエネルギッシュなシングル曲。リズムが主役のトライバルな曲でローリーのボーカルに、ショーンのギターとリズムがしのぎを削ります。片側1本に聴こえるギターはショーンだけなのでは?と思わせます。後にカルロスが見守る中、ケネディホールで、スティーブ・ウインウッドが歌とオルガン、シーラ E.をパーカッションに従えた素晴らしいカバーを披露していました。”Gimme Some Lovin”とサンタナの熱い共通項を感じます。

6. Guajira
メキシコ民謡のようなメロディを持つ落ち着いた曲。

7. Jungle strut
Guajiraとよく似たベースラインですが、ツイン・ギターが激突するロックナンバー。

8. Everything coming our way
グレッグではなくカルロスがファルセット声で歌う。ジェフ・ベック、クラプトンやキース・リチャーズらのギタリスト達が歌うようになり、自分も勇気をもって歌いたくなるのも分かります。

9. Para los rumberos
ティンバレスの王様と呼ばれるティト・プエンテのカバーで熱いラテン・ロック。最後の曲でトランペットが入る。

自己紹介
中学生の頃から40年以上ロックを中心に聴き続け、集めたCDの枚数およそ1万枚。溢れるロックで60年代、70年代、80年代のロック・レジェンド達や、ちょっと希少なアーティストの素晴らしいCDを紹介しています。ロックだけでなく、ジャズやソウル、日本のロック、フュージョン、洋画&邦画のブルーレイ、書籍、ロックのボックスセットなど、気の向くままに一日一枚60年代ロック、70年代ロック、70年代ロックのおすすめ作品を紹介します。

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