Rolling Stones [Black & Blue]

Rolling Stones [Black & Blue] ROCK

1976年リリースされたローリング・ストーンズの13枚目のスタジオアルバム。イギリスでは最高2位、アメリカでは4週に渡り1位を記録。発売年にプラチナ・ディスクを獲得している

ミック・テイラーが脱退した後に制作され、キース・リチャーズが多くのギターパートを担当している。並行して新しいギタリストのオーディションが行われ、その様子はグレイト・ギタリスト・ハントとして知られている。結果ロニー・ウッドが正式にメンバーとして加入しましたが、しばらくは契約社員だったようです。このアルバムではニューソウルやAORからの影響を受け、ロックはもとよりディスコ、ファンク、レゲエなどの多様な音楽のスタイルを試みています。

グレイト・ギタリスト・ハントでは、ジェフ・ベック、ロリー・ギャラガー、ハーヴェイ・マンデル、ウェイン・パーキンス及びロン・ウッドの参加が確認され、実際の参加は不明ですが、ミック・ロンソン、ジェシ・エド・デイビス、ピーター・フランプトンの名前も上がったそうです。

  1. Hot Stuff
  2. Hand of Fate
  3. Cherry Oh Baby
  4. Memory Motel
  5. Hey Negrita
  6. Melody
  7. Fool to Cry
  8. Crazy Mama

Hot Stuff
タイトルは「流行のもの」「最新情報」「性的に興奮させるセクシーな人・物」「熱いもの」といった意味があるそうです。曲としてはロックにディスコとファンクの強烈な融合。ファンキーなギターリフに重層的なリズムが特徴で、ミック・ジャガーのボーカルもこの際とても強烈。エフェクターでうにょうにょしたリード・ギターは、元キャンド・ヒートのハービー・マンデル。ビル・ワイマンのベースはファンキー極まりなく、パーカッシブなビリー・プレストンのピアノに複数の打楽器が重なるリズムは強力無比。新たなストーンズのスタイルがもうひとつ完成した。

今思えば “Fingerprint File” のファンク路線にディスコを加え、75年にデヴィッド・ボウイがジョン・レノンと共作したヒット曲 “FAME” を横目にしている気がします。

Hand of Fate
8ビートの古典的なロックスタイルの曲。歌詞は、女性がらみのトラブルで男を撃った主人公の運命を描く伝統的なテーマ。ボブ・マーリーの「Catch a Fire」(73年)でリード・ギターを重ねたお仕事で知られるウェイン・パーキンスが印象的なリード・ギターを弾いている。歌詞も何気に “I shot The Sheriff”ぽい。

Cherry Oh Baby
本格的なレゲエのカバー曲が初登場。オリジナルは71年のエリック・ドナルドソンの作品で、わりと陽気な初期レゲエ・スタイルでいい感じです。ストーンズのヴァージョンはちょっとぎこちないかも。この曲を有名したのはストーンズではなくUB40です。

Memory Motel
メロウという表現が適切か分かりませんが、ソウルの影響が濃厚なバラード。ミックとキースがデュエットで、実在したモーテルを舞台にハンナ・ハニーという魅力的な特徴を備えた女性との恋を歌う。キースはギターを弾かずエレキ・ピアノを担当、ミックが生ピアノを担当する編成が珍しい。ビリー・プレストンはシンセサイザーだそうです。印象的なシャラー・ラーラというリフレインが、何となくこそばゆいですが、改めていい曲だと思います。

Hey Negrita
ファンクとロックが融合した曲で、強烈なギター・リフとミックのシャウティング・ボーカルが聴ける。

Melody
ビリー・プレストンがキーボードとボーカルで活躍するジャズぽい曲。今聴けばミックのフェイク・ボーカルは面白いがストーンズらしくはない。

Fool to Cry
ミック・ジャガーと当時幼かったジェイドとの関係や、他の女性との情事を匂わすコーラス・リフレインは「泣くなんて、お馬鹿さん」。故に邦題「愚か者の涙」に納得。なかなか感傷的なバラードで76年にシングルカットされ、イギリスで4位、アメリカで10位のヒットを記録。

Crazy Mama
ファンクやソウルに振れたアルバムをヘビーなロックで締める意図があったようです。ショットガンやチェインソーを構えたデンジャラスな女性が登場する過激な歌。演奏もそれに負けずデンジャラス。ミディアムで重いリズムも強力ですが、キースの弾く強烈なギター・リフはヘビーメタルも逃げ出す過激さ。ロン・ウッドによるリード・ギターも実にデンジャラス。

あとがき
ギタリストが脱退した狭間で、早急に後任をオーディションで決めねば、仕事が滞る人事的過渡期の作品。ギターバンドの片割れなので、引継ぎはもとより後任次第でスタイルを左右する大事な局面ですね。

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