Elliott Murphy [Aquashow]

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amazon Elliott Murphy [Aquashow]
  1. How’s The Family
  2. Hangin’ Out
  3. Hometown
  4. Graveyard Scrapbook
  5. Poise ‘n’ Pen
  6. Marilyn
  7. White Middle Class Blues
  8. Like A Crystal Microphone
  9. Don’t Go Away

エリオット・マーフィーのデビューアルバム「Aquashow」は1973年にリリースされた。ニュー・ヨークを本拠地とするマーフィーは、ブルース・スプリングティーンとはデビュー年が同じで、共にディランズ・チルドレンとしてよく比較されたそうです。

マーフィーは、アルバムデビュー前の72年発売に、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのライブアルバム「1969: The Velvet Underground Live with Lou Reed」のライナーノーツを寄稿している。デビュー当時ともに青二才だったかもしれないが、スプリングティーンは後に巨大なアイコンとして輝く一方、彼は、デビュー前からアンダーグランドの闇をまとった瘦せた金髪の青白い放蕩者のイメージを持ち続けている。私は、アメリカの良心や社会の閉塞感を語るスプリングティーンの「明日なき暴走」も「ザ・リバー」、「ボーン・イン・ザ・USA」もフェイバリットだが、一方でエリオット・マーフィー、ルー・リード、ミンク・デヴィルのようなワイルド・サイドの家出少女やダンサー等、都市の裏側を描写するソングライターの存在に惹かれてしまう。

後に35枚以上のアルバムを発表するマーフィーの本デビュー作は、当時多くの注目を浴びることはなかったが、現在に至るまで彼の音楽的スタイルの原点であり「Last of The Rock Stars」という代表曲をものした。本作で聴けるマーフィーの音楽スタイルは、68年頃のディランのフォークロックやブルースロックを下敷きにしており、後のアルバムは大抵この作品の音楽スタイルのバリエーションだと考えられる。なのでこのアルバムと「Last of The Rock Stars」はお勧めできる。
もうあまり中古CDも売ってないんだよね。

Last of The Rock Stars
ロックンロールの黄金時代を象徴するミュージシャンたちへのオマージュ。歌詞には「シボレーに乗った”King”」という表現があり、エルヴィス・プレスリーを連想させるが、彼は1977年に亡くなっており、アルバム発売当時は健在でした。タイトルが複数形の「Stars」であることから、より広義に死亡したロックスターたちを称えていると考えられる。

このアルバムが録音されたニューヨークのレコードプラントスタジオは、ジミ・ヘンドリックスも頻繁に使用していたスタジオであり、歌詞には「Purple Haze」や「Axe」、「Guitar」といった言葉が登場しジミ・ヘンドリックスを想起させる。1970年にはジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、ジミ・ヘンドリックスが27歳で亡くなっている。

エリオット・マーフィーは、この曲を通じて自分が「最後のロックスター」としての役割を果たす決意を込めている。ロッカーとして家庭を持つ恐れ、ロックスターが亡くなったならば自分が継承するという使命感が歌詞に込められているようだ。曲調はハーモニカも入ったフォークロック。彼の声には独特のビブラートがあり繊細で個性的。演奏はその声に寄り添いながらも疾走感があり、聴く者の焦燥感を駆り立てる。現在もパリで活動を続けるマーフィーは、まさに「最後のロックスター」の称号にふさわしい存在。彼の音楽は、27クラブとは異なる形でロックの精神を受け継いでいる。

このアルバムは、バラードやシャッフル、ロックンロール、ブルースロック等、エリオット・マーフィーの音楽スタイルの縮図のようなアルバム。基本的に彼の詩を聴かせるシンプルなスタイルで、フォークロックや初期エレクトリック導入時のボブ・ディランのフォーマットを引き継いでいる。私が初めてマーフィーの曲に接したのは多くの方と同様にザ・ルースターズがカバーした”Drive All Night“。エレポップぽいがアングラなロックを感じる当曲を気に入っていた。数年後マーフィーの初期2枚目から4枚目のオリジナルアルバムがCD化され、オリジナルを聴くと、迫力のあるブルース・スプリングスティーンのような疾走系典型的ロック。あれ?別の曲の様。3枚目に追加収録された初期バージョン「Night Connection」が参照元で、ザ・ルースターズはほぼ完コピーでしたね。(数年前に来日し花田さんと当曲をデュエットしている映像があった。)

2作目「Lost Generation」はドアーズのプロデューサー、ポール・A・ロスチャイルドがプロデュース。3作目「Night Lights」はブルース・プロジェクトのスティーブ・カッツ。「Just a Story from America」は英国録音で、元ストーンズのミック・テイラーやフィル・コリンズがセッションに参加している。このアルバムまではRCA、CBSとメジャー・レーベルでの製作であり、音の痩せたデビューアルバムと比べても迫力があり、メジャー級である。曲も編曲もドラマチックで濃厚、マーフィーの歌唱もいいのだが、通受けはするが一般大衆受けはしなかったようだ。ここまでの4枚は比較的入手しやすいのでおススメしたい。”Drive All Night“は必聴です。

Lost Generation
Night Lights
Just a Story from America

現在に至るまでカルトなロッカー道を歩むのだが、35枚以上のアルバムを発表するアーティストとしての本望は果たしているのではないか。彼の全てのアルバムを集める私のようなファンもいる。

公式HPは内容が充実しているしYou tubeを見るとギターを持った息子さんらしき青年とステージを共にしている。まさに The Last of The Rock Starsの生き様。

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