ジョージア・サテライツのアルバム「In the Land of Salvation and Sin」は彼らのサードアルバムで1989年の発売。多彩なリズムで聴かせる新境地となったアルバム。オリジナルメンバーでは最後のアルバムとなってしまった。
私が20歳頃に何度も繰り返し聴いた思い入れのあるアルバム。「火の玉ロック」や「サムシング・エルス」等、彼らのカバーした曲でオリジナルを知ることも多々あったし、今でもネルシャツや革ジャン、ジーンズを好むのもは、少なからずダン・ベアードに影響されたのだと思う。
![The Georgia Satellites [In The Land Of Salvation And Sin]](https://rockcd1000.com/wp-content/uploads/2025/02/The-Georgia-Satellites-In-The-Land-Of-Salvation-And-Sin.webp)
- I Dunno
- Bottle O’ Tears
- All Over But the Cryin’
- Shake That Thing
- Six Years Gone
- Games People Play
- Another Chance
- Bring Down the Hammer
- Slaughterhouse
- Stellazine Blues
- Sweet Blue Midnight
- Days Gone By
- Crazy
- Dan Takes Five
I Dunno
元フェイセズのイアン・マクラガンの転がるピアノをフューチャーしたロックンロール。「また会ったね」とフェイセズのノリに近いシンプルな疾走系ギター・ロック。オープニングに相応しく、ダン・ベアードのボーカルも全開だ。「In the Land of Salvation and Sin(救いと罪の地で)」という一節はこの曲から。ニューオリンズ?を指していると思われるので、彼ら流のコンセプトアルバムの始まりでしょうね。
Bottle O’ Tears
重くブルージーな雰囲気に、ボーカリストとして成長したダン・ベアードの声がいい感じ。いわゆるサザンロックと言われるスタイルなのかも知れないが、彼らの音楽スタイルの広がりが感じられる。
All Over But the Cryin’
何度も聴いたお気に入りの曲。カントリーでブルージーなサザンロックなミディアムスロー。ダン・ベアードが感傷的なメロディを怒りなのか感情をこめて歌う。歌いまわしと感情表現にボーカリストしての成熟を感じる。終盤にかけて、ミック・テイラーを思わせる「タイム・ウェイツ・フォー・ノーワン」なブルージーなギターが泣きのフレーズを繰り出す。このオルガンはマックスなのかな。いいお仕事です。
Shake That Thing
多彩なリズムで聴かせる本作での新境地。「ディキシー・チキン」「ファットマン・イン・バスタブ」辺りのリトル・フィートへのオマージュ。マウロ・マジェランのポリリズムなドラムが新境地で最高のノリを生み出している。リック・リチャーズのローウェル・ジョージ風のスライドが滑りまくり、ダンもいつになくファンキーな歌詞をファンキーに決める。コーラスとピアノがにぎやかに曲を飾る素敵な仕上がりだ。ニューオリンズで撮影されたプロモビデオを見る限り、シェイクさせるのはお尻とおっぱいです。バンドがこのメンバーで存続してればと思わずにはいられない楽しい曲。
Six Years Gone
初期のミニアルバム「Keep The Faith」から再録。リック・リチャーズが歌うノスタルジックなフォークロックな曲調のロックナンバー。リックが自身の声でコーラスをつけている。ダンの不在を感じる。
Games People Play
ジョー・サウスの曲。ゆったりと揺れる気持ちいリズムに全員参加のコーラスが幸せな気分にしてくれる。ベースのリック・プライスが歌うカバー曲は良い。彼は来日時にもエディ・コクランの「サムシング・エルス」ジェリー・リー・ルイスの「火の玉ロック」を歌って盛り上げてくれた。真偽は不明ですが、ストーンズのビル・ワイマンの脱退時に彼も候補のひとりと言われていた。
Another Chance
アコースティックでスリム・チャンスなロニー・レインへ敬意を込めてメンバー皆で歌う。希望と再生をテーマにした感動的な曲。
Bring Down the Hammer
サテライツ流のロック。ダン・ベアードの曲。
Slaughterhouse
リック・リチャーズの激しいギターと血管が切れそうなハイテンションなボーカルが衝撃的。チャック・ベリーの高速バージョンでパンキッシュなアップデートは初めて聴いた。ラモーンズやセックス・ピストルズより
Stellazine Blues
前曲から間髪入れず始まるストーンズの何かの曲を想起せずにはいられないいい曲。「キャンチュー・ヒア・ミー・ノッキング」「ストップ・ブレイキング・ダウン」辺りかな。でも素晴らしくクールでブルージーなサテライツ流のロックをモノにしている。
Sweet Blue Midnight
ニール・ヤングのアルバムでのデュエットでも知られるニコラット・ラーソンとのハーモニー・ボーカルを聴かせるカントリーロック。グラム・パーソンズへの深い敬意を感じます。アルバムの多彩な魅力の一翼を担う曲。
Days Gone By
多分バンドの過去を振り返る歌詞とメロディが感傷的。リックとダンのツインボーカルが、時にハーモニーをかなで涙が出そう。フォーク・ロックな曲調で「ライク・ア・ローリング・ストーン」のオマージュのようだ。
Crazy
初期のミニアルバム「Keep The Faith」から再録。ストレートにフリーやバッド・カンパニー等のブリティシュ・ロックの影響を感じる。
Dan Takes Five
ジョージア・サテライツファンの私が、他の曲を押しのけ、何度でも聴きたくなる大のお気に入り曲。アルバムの締めにふさわしい疾走系ロックン・ロールをぶっ込んでくれたました。ボブ・ディランの「サブタニアン・ホームシック・ブルース」を下敷きにしたようなトーキング・ブルース調でバンド演奏もパンキッシュで最高にドライブする。「扉を閉めて出たらもはや俺の家ではない」「車とプライド、3本のジーンズがあればいい」なんて歌詞も何だかかっこいい。
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