Rolling Stones [Emotional Rescue]

Emotional Rescue ROCK
Emotional Rescue
amazon cd [Emotional Rescue]
  1. Dance (Pt. 1)
  2. Summer Romance
  3. Send It to Me
  4. Let Me Go
  5. Indian Girl
  6. Where the Boys Go
  7. Down in the Hole
  8. Emotional Rescue
  9. She’s So Cold
  10. All About You

ローリング・ストーンズ 『エモーショナル・レスキュー』
1980年に発売されたアルバム。全英、全米共に1位を記録した。かつてインタビューでミックジャガーは、このアルバムは半分くらい冗談みたいなもんだから真剣に受け止めないでと言った。前作『女たち』の成功を受け、前作で試みたディスコ・サウンドをさらに進化させ、レゲエやダブへもアプローチしたことから実験的作品と見なされる。

1. Dance Pt. 1
A面1曲目 [MISS YOU]と同じポジションでこの曲 [Dance]です。ディスコ調だが [Miss You] よりリズムを重くゴツゴツさせ、これは踊りにくくしているのではないか。前述のリズムの重さに無骨なギターリフ、キースの汚い声での合いの手や男臭いコーラス。ハーフラップのボーカル、ターンテーブルやスクラッチ音も聞こえるようにレゲエのダンスホール的なスタイルを狙っているように思える。非ディスコの私には長年愛聴しているお気に入りの曲である。

2. Summer Romance
タイトルの類似からエディ・コクランの [Summertime Blues]を狙ったと思うが、分かり易いギターリフがないので、いまいち件のロック・レジェンドの域には至っていない。ただし後年の曲作りのつながるキースとロンのギター2本の構成はとてもいい。このアルバムでいくつかあるロックンロール曲だが次曲もそうだが妙に明るく軽い。そういう意味では非ストーンズ的である。

3. Send It to Me
かつてミック・ジャガーはインタビューでこのアルバムは半分ジョークだから真剣に受け止めないでくれと語った。まさにこの曲、レゲエのリズムでジョークのような歌詞を披露するパロディである。

4. Let Me Go
このアルバムの収録のロックンロール曲の内、勢い任せのスピード感ではなくゴリゴリしたギターリフにルーズな展開も含め、練られた構成で最後まで聴かせるストーンズ流のロックの名曲。終わった関係について皮肉と自嘲、ユーモアとジョークに満ちた歌詞。真面目に議論しないでくれとはこういうことだと思う。

5. Indian Girl
ジャック・ニッチェ アレンジのマリアッチ風の管も登場し、中南米風の雰囲気を醸し出す。ヌエバ・グラナダ共和国は過去に実在した国。チェ・ゲバラも登場。時間軸に関わらない戦争孤児にまつわるメッセージ性のある歌詞。雰囲気ありきで悲しい物語を仕立てたのだろう。ワールドミュージックだけど真剣に受け止めてはいけないジョークだろうね。

6. Where the Boys Go
このアルバムでいくつかあるロックンロール曲。アウトテイクだろうがちょっとクオリティは落ちる。

7. Down in the Hole
真面目に歌詞のメッセージを解読してもしょうもない。穴にはまったら、今だと沼にはまったらどうな気分だい?と問うブルースの定型を借りたブルースのパロディ。

8. Emotional Rescue
ミック・ジャガーがクネクネと体を揺らし、媚びるような甘い声で「何やらはまって泣いているお前の所へいって、お前の魂を救ってあげよう」と歌う。ボーカルスタイルはマービン・ゲイやプリンスのファルセットを彷彿とさせ、また[Miss You]で起用したシュガー・ブルーのハーモニカに似た退廃的な響で歌うは、輪郭のあいまいな愛と救罪。反復するベースの低音も効いていて、コーラスのリフレインも甘くまた気持ち悪くて頭から離れない。かつてプラスティク・ソウルと揶揄されたミック・ジャガーらしいいかがわしく、そしてどこか魅力的なものがある。

9. She’s So Cold (氷のように )
タイトルにかけて、冷蔵庫の中で演奏するというコンセプトが秀逸なプロモビデがかっこいい。時代はパンクやニューウェーブを迎え、すでにおじさんレベルのストーンズの面々が若くクールである。バハマ ナッソーのコンパスポイントでの録音は、この時代特有の少々レゲエやダブの感触を感じるクールな音作りでグレース・ジョーンズの80年のアルバム [Warm Leatherette]、特にロキシー・ミュージックのカバー曲[Love is the Drug]はこの曲によく似ている。隙間のある空間を切りさくクールなギターの絡み、輪郭の効いたベースラインとクールでホットなドラムはダンサンブルだ。クールに反復する序盤から徐々に熱くアドリブの効いた展開と歌唱は典型的なストーンズ流ロックンロールである。「俺は燃える火山のように熱いのに、彼女は凍るほど冷たい」なんて歌は素敵じゃないか。この曲があるから後のアルバム「Undercover」の [She was Hot] がある。このプロモビデオも最高に笑える。

10. All About You
アルバムの最後を締めるストレートなラブバラードでキースが切実に歌う。今に至るまで評価は高いようだが、キースの声が弱すぎる。後のアルバムやソロアルバムの収録曲の方がよっぽど聴ける。バラードならばメンフィスソウルに迫った1988年のアルバム「Talk Is Cheap」に収録された”Make No Mistake”、カントリーバラードの” Locked Away”、アップなら [Steel Wheels]のゴージャスな ”Can’t be Seen“。他にキースの歌うレゲエも素晴らしい。

因みにキースの歌うレゲエでは、”You Don’t Have to Mean It”がホーンもご機嫌な明るいレゲエ曲。「Bridges to Babylon」(1997年)の収録曲。 “Truly” は、英国ロックファンにお馴染みIan McLaganのアルバム [Troublemaker]の収録曲。イアンにキース、ロンもワイワイ歌っている最高に楽しいレゲエジャム。(このアルバム amazonで12000円だって!)

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