Aerosmith  [Permanent Vacation]

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1987年発売の「パーマネント・ヴァケイション」は再結成後2作目のアルバム。
本アルバムではボン・ジョヴィの特大ヒットアルバムを手がけたブルース・フェアバーンをプロデュースサーに迎え、全ての曲でバンドメンバーが職業作家と共作するというヒット祈願の人事を尽くしている。アメリカで500万枚以上を売り上げたロック界のレジェンドとして再び君臨するきっかけとなった作品です。

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  1. Heart’s Done Time
  2. Magic Touch
  3. Rag Doll
  4. Simoriah
  5. Dude (Looks Like a Lady)
  6. St. John
  7. Hangman Jury
  8. Girl Keeps Coming Apart
  9. Angel
  10. Permanent Vacation
  11. I’m Down
  12. The Movie

80年代的ビッグなドラムに空間を音で埋尽くす設計はゴージャスですが、緻密でハードなギターのアンサンブルはエロスミスらしさをキープしている。なにより洗練された曲作りとアルバムを最後まで聴かせる構成が素晴らしい。クジラの鳴き声のSEからハードな曲、ポップな曲、デルタ・ブルース風もあればジャジーな歌もある。激甘バラードで大いに盛り上げ、スチールドラムが楽園に誘い、続くビートルズの曲はパーティ風だ。セリフ入り映画のサントラ風味でエンディング。これだけヒットしたので「ポップ・メタル化した」「露骨な売れ線狙い」等と揶揄する批評も噴出する。また彼らの本来の姿をとらえてないとの意見もあるが、音作りが当時の80年代風であって「Rocks」「Toys in The Alley」らのヒットアルバムを踏襲した構成は、彼らの本質的な部分を十分にアップデートしている。

1.Heart’s Done Time
クジラの鳴き声のSEには「クジラを守れ」というメッセージが込められているそうです。スティーブン・タイラーのワチャワチャとした雄叫びから始まるエネルギッシュなボーカルと ”Back In The Saddle Again” を彷彿とさせるハードなギターリフはバンドの復活の告げる素晴らしいオープニング。80年代風のドラムサウンドで全体の輪郭は少しぼやけますが、アルバムへの期待は高まります。“Do Time”というフレーズには、刑期を終えた後の解放感と性的な意味があるそうです。刑期を終えて娑婆に戻り、これから派手に行くぜという宣言ですね。

2. Magic Touch
シングルヒットするようなキャッチーさはありませんが、きっちり構成されたアンサンブルはエアロスミスらしいハードな曲です。昔からのエアロファンには好評のようです。

3. Rag Doll
MTV等で相当プッシュされた特大ヒット曲。「ラグドール」とはボロ切れで作ったお人形ですが、卑猥な意味を含むそうです。(プロモビデオで描いている通りの卑猥さ)キャッチーで少しディスコチックなハードロックは「ロックス」収録の ”Get the Lead Out” をリメイクした曲のようです。ジョー・ペリーのスライドギターは猥雑な効果を生み、トーキング調のボーカルにエンディングのスキャットやアドリブ、ピヨピヨしたソプラノサックスも楽しい。

4. Simoriah
しっかりメロディを歌っているのでとてもキャッチー。エアロスミスらしくはないがいい曲。

5. Dude (Looks Like a Lady)
これも特大ヒット曲。タイラーとペリーがバーで見かけた後姿美人に声をかけたら、何とモトリー・クルーのヴィンス・ニールだったそうです!当時のヴィンス・ニールは金髪ストレートのサラサラ髪にプリケツで、後ろ姿だけでは美人と見間違えるほどだったようです。そんな笑えるエピソードから曲はつくられたそうです。人を後ろ姿だけで美人だとかそうでないとか拙速な判断や過度な期待はしてはいけませというありがたいお話。

6. St. John
「神を称え血まみれの手を剣に置く」というリフレインを歌うジャジーなタイラーのボーカルは、クールでミステリアスな雰囲気を醸し出します。

7. Hangman Jury
曲の主人公が自分の罪を告白し、最終的に絞首刑に処されるといういかにもブルースなストーリー。しゃがれたタイラーの声とハーモニカは巧みなデルタ・ブルース風であり、この効果と演出はアルバム全体に渋さと奥行きをもたらしている。

8. Girl Keeps Coming Apart
破裂しそうなくらい危険でセクシーな、職業不詳の怪しい女性についての歌詞。タイラーのボーカルとハーモニカはバタバタと狂乱気味。ギターソロもいい感じで、ホーン隊も要所で盛り上げる。曲に深みや含蓄はあまりないものの、アルバムの終盤を盛り上げる楽しい曲です。キャッチーな要素には欠けますが、その分純粋に楽しめるエネルギッシュな曲です。

9. Angel
激甘バラードのヒット曲。『野獣生誕』に収録された ”Dream On”の系譜にある感情豊かなバラードで「アルマゲドン」の”I Don’t Want to Miss a Thing”など、後のパワー・バラードのひな型となった再ブレイク後、最初の成功事例。激甘すぎるメロデーは、実娘リズを思ったのか感情豊かなタイラーの歌が愛しい。

10. Permanent Vacation
ビル・ブラットフォードとステーブンの共作。永遠の休暇ですので、イントロのじらしもスチールドラムも南国リゾート風で楽しい雰囲気。メロディもギターのフレーズも華やかで、アルバムのタイトルに相応しいポップな大好きな曲です。

11. I’m Down
ビートルズのポールが歌ったシングルB面曲のカバー。パーティぽい感じに仕上げていますがほぼストレートな演奏。ストーンズの”Walkin the Dog”、ヤードバーズの ”Train Kept a-Rollin’”、 “Think about It” 等の英国ロックをアルバムの最後に収めるお約束の曲です。

12. The Movie
余韻となるインスト。日本人女性の声がサンプリングされている。

あとがき
アウトテイクは、次作「PUMP」や他のアルバムで再利用されているのでしょうが、バンドが存続し、メンバー健在のうちにデラックス・エディションはだして欲しいですね。プロデューサーのブルース・フェアバーンも99年に亡くなっているのでお金が絡むのかな。

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